上手いやり方を知ってるわ。
前に出過ぎず 後ろに引かず、
聞きたいであろう言葉のひとかけら だけ口にする。
無言になったらなるたけ丁寧にコーヒーを淹れて、
雨の日には窓際のソファを譲ってあげる。
それから、決して昔の話をしないこと。
これだけで、
あたしは日々の「フリーズ」から逃れることが出来る。
出来る、ん だけ ど、
銃を押し付けた後、冷徹な目で見詰める彼が ほんとうは
あたしを撃ったりすることなんてありません。
その あたしを撃たない彼が、あたしに向けた 銃口 を
取って付けた文句で 忌々しげに外す様を 見たいが為に
あたしは今日も轍を踏む。
「ったくどーしようもねーバカ」
「ちょっと、人に簡単に馬鹿とか言わないで」
「バカにバカと言って何が悪い」
「天才に天才 と言うのとはわけが違うわ」
「うるさい、ザルバカ」
「救いようが無いのはどっちよ、ザル悪魔」
「悪魔が救われてどうする」
言いながら、さも さりげなく彼は銃を退ける。
嗚呼、『撃たないの?』って問い詰めたい。
『撃ってもいいのよ』って言ったって、きっと彼はあたしを撃たない。
嗚呼、『撃たないの?』って言ってやりたい。
利口なやり方なんて とっくのとうに 忘れてしまった。
***
まもりちゃんだって蛭魔さんがこうして欲しいんだろうなーっていうことくらいはわかります。
だけどそれをしない。だってしちゃったら、構ってもらえなくなっちゃうから。
蛭魔さんは、自分がどうしたら嫌か分かってるまもりちゃんを嫌だなー と思いつつ、面白い奴と思ってるといい。
よくわかんないものの方が、面白くって魅力的だから。
(2005/03/22)