開け放った窓から風が吹き込む。
手元の部日誌がパラパラと捲れた。
慌てて元のページに戻した直後、冊子の角に無糖ガムが無愛想に置かれた。
ルーレット台の向かいでキーを叩く男が、顔も上げずに「見苦しい」と言った。
なによえらそうに
だったら さっきから膨らましては潰してるそのチューイングガムの方がずっと見苦しいわよ。
一言言わなきゃ、あたしだって素直に感謝するのに 何よ 偉そうに。
ありがとうを言い損ねてしまった。
腹いせに音を立てて窓を閉めてやろうかしら。
ヒビが入るくらい出来たら良い。
思いついた途端、行動を促すように再び風が舞い込んできた。
無糖ガムは重石にするには軽かったらしく、ページをはためかせながら少しずつ移動してしまう。
残念でした、という視線で向かいに目を寄せたら細い金の髪も柔らかく揺れていた。
続けて少し弱めに入った風が、そよそよと 金を揺らした。
向かいの男はやっぱり画面から顔を上げなかった。
私は無糖ガムよりは重みのある自分の筆箱を、それの傍に置いた。
やっぱり窓は閉めなくても良いや と思った。
***
実際蛭魔さんはちょこちょこ手を貸してくれる。
けど大抵は自分の利益の為だし、まもりちゃんもそこんとこわかってるので
蛭魔さん=助けてくれる と言う図式は成り立たない。
(2005/04/24)