そういう日 は、とりあえずいつも通りにするようにしている。
今はもう、だんだんとコツを掴んでいったので特にどうすることも無いけれど、
最初の頃は勝手が分からなくて つい甘やかしてしまって
「ウルサイ」なんて理不尽にも怒られたりしていた。
万事屋の二人には、時たま そういう日 があるらしく、
そんな時はむっつりと口を結んで 喋らない、笑わない、出掛けない。
ただ事務所の中に閉じ篭って一日を過ごす。
そして大抵は僕の傍を離れない。
神楽ちゃんなんか小さいのを良いことに掃除中や炊事中に背中にしがみついてきたりする。
随分でかくて重いリュックサックだ。(しかも口にしか物が入らない)
特に掃除機をかけている中腰の時にはキツイのでやめて と言ったら、
何を思ったか「モップの代わりになるヨ」と足にしがみついて そのまま床を擦れ、と言うので、慌てて元に戻した。
今日も神楽ちゃんは そういう日 らしくて一日僕の傍を離れなかった。
トイレに行くのも一緒で、手を繋いでドアの前まで行くと、2メートルくらいのビニル紐の片方を持たされる。
もう片方は神楽ちゃんが持ってトイレに入る。
トイレに入ってるときに傍を離れると振動が伝わって分かるらしい。上手いこと出来ている。
三人寄れば文殊の知恵 っていうけれど、一人でどっからこんな知恵を出してきたんだろうか。
晩御飯の時も、普通に膝の上に乗ってきたりしたけど、構わずそのままご飯を食べさせてあげた。
そのうち ゴトリ と お茶碗をテーブルに置いて動かなくなってしまったので、しょうがないから代わりに食べさせることにする。
無気力なその手からお箸とお茶碗を抜き取って、少しずつ口元へ運んでいく。
神楽ちゃんは横座りになって、僕の方に身体を持たれかけて、ぼんやりと 御飯を飲み込んでいく。
「おーおー 甘やかしちゃって」
向かいに座って御飯を食べている銀さんが、にやにやと笑いながら茶化した。
銀さんの時なんかもっと酷い。
僕の傍を離れないというより、僕を傍から放さない。
ぼんやりと和室の万年床に座り込んで何かを見てる。
僕を傍から放さないくせに、僕でない何かを日がな一日眺めてる。
放してくれないから、その日一日家事が出来ないし、もちろん御飯も作れない。
でも銀さんは そういう日 には御飯を食べない。
朝も、昼も、夜も ぼんやりと
一度 酷いときは、神楽ちゃんと銀さんの そういう日 が重なってしまって
真っ暗闇の中、三人和室に固まってグーグーと腹の音を鳴らして過ごしたこともあった。
別に、次の日になれば二人とも全然元気で、
今こんなになってる神楽ちゃんも明日の朝には全然元気になるし で、
ただ ただ 今日が そういう日 だったに過ぎない。
そういう日 は、とりあえずいつも通りにするようにしている。
なんで そう なるかなんて考えない。
ただ、いつも通り傍にいるだけ。
それだけで 明日には笑ってくれるから。
僕はただ 傍にいるだけ。
***
万事屋家族設定。
なーんか朝から心の傷が開く日ってある。
そんなとき、新八が傍にいてくれたら なんでかしんないけど立ち直れそうな気がする。
そういう子なんだ。新八って。
(2005/07/10)